COLUMNコラム
実践・インテリアカラーコーディネート 失敗しない色選び
休日ぐらいはリビングでのんびり過ごしたいのに、なぜか落ち着かない。
眠くて寝室に行ったのに、どうも寝つきが悪い。
そんな経験はありませんか。
もしかすると、それはお部屋のカラーコーディネートに原因があるかもしれません。
人は無意識のうちに環境の色に影響を受けています。
例えば火の色を連想させる赤やオレンジは、ほとんどの人に温かい印象を与えます。
このような色の特性を知れば、どんなお部屋に使えば良いかというヒントが見つかりそうです。
さあ、色の持つイメージを考えて、お部屋のカラーコーディネートに挑戦してみましょう。
色の基礎知識を身に付けよう
色の性質を表す基本的な言葉に『色相』『彩度』『明度』があります。
『色相』は赤、青、黄のような色味の違いを表します。
『彩度』は色の鮮やかさ、『明度』は明るさを表します。
『彩度』と『明度』の組み合わせで決まる色の雰囲気を「トーン」と言います。
色相環
各色相の純色(最も鮮やかな色)を、似た色ほど近くになるようにして円形に並べたものが色相環で
す。反対側に位置する色同士が補色の関係になります。
トーン(色調)
明度と彩度の傾向が似た色同士をまとめたものがトーンです。
最も彩度の高い仲間がビビットトーン。
この各色に白い絵の具を混ぜたら、どれも明るい色になりますね。これがライトトーン。
さらに白っぼくすればペールトーン。ビビットに灰色を混ぜて彩度が落ちたイメージがグレイッシュトーンという具合です。
統一感のある配色にするには、色相かトーンのどちらかを揃えるのが一般的です。
色相を揃えるとは「青っぽい色だけを使う」というように色相の近い色を組み合わせる方法です。
もう一方の例は「明度が高く少し彩度を抑えたライトトーンで統一する」といった方法です。
トーンが揃っていれば別々の色相を組み合わせても統一感は損なわれません。
色のイメージを理解しよう
「色のイメージ」の根底にあるのは、空や海、血、火、植物など、人間に関わりの深い自然界の色でしょう。
その色を持つ物が人間にどんな影響を与える物なのか。温かいのか冷たいのか、安らぎを与える物なのか興奮させる物なのか。
色に、火や水のような本能的に重要な物を思い起こさせる働きがあるとすれば、心や身体に影響するのも当然と言えるでしょう。
また何を連想させる色なのかと考えれば、その色の持つイメージも想像がつきます。
さあ色相別に色の基本的な性格や使い方を考えてみましょう。
■ 情熱 興奮 エネルギー
注目を集める強力な色なので、アクセントとして使うのが一般的です。
広い面積に使うなら慎重に色味を選びましょう。
一口に赤といっても彩度や色味のわずかな違いで、エレガントにもスポーティーにもラブリーにもなります。
かなえたいイメージを明確にして使うことがポイントです。
■ エレガント 高貴 神秘的
静かな思慮深さを感じさせる色ですが、一歩問違えると下品な印象にもなります。
性格が相反する赤と青を内に含んでいることで豊かな表情を持っているため、色みや使う面積には注意が必要です。
暖色でも寒色でもない中間色なので、脇役としては様々な場面に似合う色です。
■ 清涼感 静寂 神秘
気分を静め、集中力を高めてくれるので、家庭なら勉強部屋におすすめです。
落ち着いたトーンの青を寝室に使えば安眠の効果も期待できます。
暑い季節は、リビングに取り入れて涼を演出するのも良いでしょう。
暗い部屋に使うと寒々しい印象になるので要注意です。
■ 自然 新鮮 明朗
森や草原の恵みをイメージする緑と、陽気な明るさが魅力の黄の性格を併せ持つ、とても親しみやすい色です。
控えめで穏やかなのにとてもポジティブ。そんな気立ての良さが魅力です。
インテリアには非常に使いやすいので、思い切って広い面積に採用するのも良いでしょう。
■ 豊穣 若さ 開放感
明るく元気なイメージで、暖かく家庭的な親しみを感じさせます。
ダイニングに取り入れれば、食べ物がおいしそうに見えて食欲増進の効果が期待できます。
小さな面積でも存在感がありますから、アクセントカラーとして使えば、お部屋が生き生きとした印象になります。
共有空間は誰もが快適な色で、個室なら冒険もまた楽しい
家の中には家族みんなで使うパブリックスペースと、一人で使うプライベートスペースがあります。
パブリックスペースには、誰にでも受け入れられる配色が向いています。
鮮やかな色を控え、色数を抑えることで、統一感を出しましょう。
逆にプライベートスペースなら、時には冒険も楽しいものです。
閉じた空間なら他の部屋に影響しないので気が楽ですし、気分転換に気軽に変更できます。
ご自分の好きな色を大胆に取り入れてみてはいかがでしょう。
カラーを統一したらお部屋が広くなった気分
インテリアの色が統一されていれば、お部屋はスッキリ広く感じます。
主張の強い色で統一するのは居住空間として現実的ではありませんから、淡い優しい色を選ぶことがポイントです。
例えばオフホワイト系の自然素材で統一すれば、電球の色が馴染む優しい雰囲気のお部屋になるでしょう。
アクセントカラーでピリッと引き締める
印象が単調になり過ぎた時は、アクセントになる色を加えてみましょう。
小さい面積に鮮やかな色を取り入れることで、配色がピリッと引き締まります。
もう少し広い面積をテーマカラーで統一する方法もあります。
この場合は他の部分に白などの控えめな色を使い、テーマカラーを引き立てましょう。
見え方の仕上げは照明の色と明るさ
インテリアをどんな色で揃えたとしても、最後に見え方を決めるのはその場を照らす光です。
照明の色で代表的なのは、電球色と昼白色です。
「暖色系で暖かい雰囲気に」という狙いなら、仕上げは電球色の優しい光。鮮やかな色彩を活かすなら、クセのない昼白色の光が向いているでしょう。
気持ちを静める色で安らかな眠りに
安らかな眠りにつけるよう、寝室には気持ちを静める色を使いたいものです。
沈静色といえばブルー系ですが、冷たい印象になるせいか、この色を基調に選ぶ人は少ないようです。
ブラウン系と白の組み合わせは寝室の定番。古い木造家屋を思わせる色が、今でも気持ちを落ち着かせるのでしょう。
部屋の役割によってインテリアカラーに変化を付けたら、生活にもメリハリが生まれるかもしれません。